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疾患と治療

じくついしとっきこうほうぎしゅよう

軸椎歯突起後方偽腫瘍

頚椎の軸椎(第2頚椎)には、歯突起と呼ばれる突起のような部位があり、この歯突起は環椎(第1頚椎)と関節を形成して、首の動きをサポートしています。歯突起後方偽腫瘍は、この歯突起の後方に出現する軟部組織の隆起を指します。この隆起は、炎症性変化や機械的ストレス、頚椎の変性疾患などにより第1-2頚椎の不安定性の結果として生じることが知られています。最近では、加齢変化により中下位頚椎(第3-7頚椎)の動きが少なくなる場合や変形が強いと、第1-2頚椎に負担が増して、偽腫瘍が出現する原因となる事が分かっています。この偽腫瘍が大きくなると、隣接する脊髄を圧迫し、頚部の痛みや動きの制限、手足のしびれや筋力低下などの神経麻痺が現れることがあります。診断はMRIにより歯突起の後方に偽腫瘍をみとめ、脊髄の圧迫の有無などを評価できます。症状の程度や原因に応じて、治療方法が選ばれます。軽度の症状であれば、保存的治療として物理療法、薬物療法、装具療法などが行われます。一方、神経麻痺の症状が強い、症状が進行性、脊髄の圧迫が高度である場合には手術治療が積極的に考慮されます。


図(左)頚椎を横からみたX線。全体に椎間板がつぶれています。

   (まん中、右)矢印の部分に偽腫瘍がみられ、脊髄を強く圧迫しています。

この患者様は頚椎後方固定術を受け、歩行困難で車椅子生活でしたが、術後3ヵ月で、自力杖歩行ができるまで回復しました。術後1年では、連続で20分の自力歩行が可能となりました。


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