疾患と治療
りうまちせいたはつきんつうしょう
リウマチ性多発筋痛症
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica:PMR)とは、筋痛などを症状とする慢性の炎症性疾患で、病名に「リウマチ」とありますが、関節リウマチ とは別の疾患になります。肩周辺や腰のまわりの筋肉の痛みやこわばりのほか、発熱や倦怠感、体重減少といった全身症状を伴う自己免疫疾患です。筋痛はみられるものの筋力の低下や筋萎縮はみられないというのが特徴です。症状は急に発症することが多く、突然肩が上がらなくなったり、腰痛のため椅子から立ち上がれなくなったり、寝返りができなくなったりします。関節痛があることから関節リウマチとの鑑別が重要になりますが、手指など小さな関節を中心に起こる関節リウマチと比べて、リウマチ性多発筋痛症では大きな関節周囲の痛みや可動域の制限を受けることが多いとされています。50歳以上の中高年に好発する50 歳以上の中高年に多くみられ、年齢の上昇とともに発症率も高くなり、ピークは70 ~80 歳といわれています。男女比では女性に多く発症します。人種別では日本人より白人に多く、特に北欧での発症が高いと報告されています。血液検査では赤血球沈降速度の亢進やCRPの上昇など炎症反応を認めます。リウマトイド因子、抗CCP抗体、抗核抗体といった自己抗体は通常陰性です。また、日本人患者の約20% に側頭部周辺の頭痛や視力の低下、あごの痛みや噛むことができなくなる顎跛行などの症状を伴う巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併するといわれています。診断が最も重要で、治療の第一選択薬は副腎皮質ステロイドです。