疾患と治療
せきずいくうどうしょう、あーのるどきありきけい
脊髄空洞症、アーノルドキアリ奇形
脊髄空洞症は、脊髄内に液体で満たされた空洞(シリンクス)が形成される疾患です。症状は、シリンクスの位置とサイズ、成長の速さによりますが、初期段階では無症状であることが少なくありません。徐々に進行すると、背痛、首痛、四肢の感覚異常や運動麻痺、筋力低下、手の不器用さ、体温調節の問題、排尿・排便の障害などが現れることがあります。診断は、まず患者の症状と身体検査に基づいて行われ、次にMRIなどの画像検査により確定します。原因には、アーノルドキアリ奇形、脊髄腫瘍、脊髄くも膜炎、脊髄損傷、先天性のよるものなどがあります。基本的に原因の治療が優先されます。
治療は症状の重度とシリンクスの進行によります。無症状で進行が遅い場合は、慎重な経過観察が行われます。症状が進行している場合は、手術が必要となることがあります。
図 アーノルドキアリ奇形
(左)小脳の一部が下方に下垂しています(丸で囲った部分)。アーノルドキアリ奇形により、頚髄には空洞(シリンクス)が形成されています(矢印で示す部分)。
(右)脊髄の横断像では、脊髄の中に空洞(シリンクス)が形成されています(矢印で示す部分)。