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疾患と治療

うんどうきあんちえいじんぐよぼういりょう

運動器・アンチエイジング・予防医療

日本における平均寿命は、2021年時点(2022年発表)で男性が81.47 歳、女性が87.57歳と報告されています。世界でも長寿国として知られている日本ですが、いくら平均寿命が延びたとしても、寝たきりでは人生を楽しむことはできません。

厚生労働省の同年の調査によると、医療や介護に依存せずに自立した生活ができる健康寿命は、男性が72.14歳、女性では74.79歳であり、平均寿命と健康寿命には男性で約9年、女性では約12年の乖離があることが示されています。この平均寿命と健康寿命の差が生じた期間に関しては、要介護状態だったり、寝たきり状態だったり、何らかの介護が必要になるということになります。介護が必要になれば、家族への身体的および精神的な負担が増えるとともに、医療費という経済的な負担も重荷となって押し寄せてきます。日本では、医療費が年々増加傾向にあることもあり、この平均寿命と健康寿命の間の期間を短縮してより健康で長生きできるようにと、「健康日本21」や「健康寿命延伸プラン」といった取り組みが行われてきました。日本国内で介護が必要な人の数は、2018年時点で641万人。介護が必要になった原因の1位は認知症で18% を占めており、2位以降は脳血管疾患(脳卒中)が16%、高齢による衰弱が13%、骨折・転倒が12%、関節疾患が10% と続きますが、運動器と関連のある骨折・転倒と関節疾患を合わせると認知症や脳血管疾患を上回っています。
現在、全世界的にアンチエイジングが注目されています。石井賢医師は2017年より日本抗加齢医学会の評議員を務め、抗加齢学会専門医の講師や学会座長などで尽力してきました。また、近年では整形外科で扱うせぼねや関節、筋肉、骨、軟骨、靭帯などのアンチエイジング・予防医療も様々な観点より研究されています。石井賢医師は運動器抗加齢医学研究会の幹事も務めており、2022年11月には東京で第12回運動器抗加齢医学研究会(以下にプログラムと報告書あり)の学会会長を務め、盛大に開催されました。運動器のアンチエイジングには、適切な栄養補給、運動療法、適切な方法と時期の治療が効果を示す事が明らかになっています。
さて、老化はどのように起きるのでしょうか?建物も車も草木も時間が経過すると老朽化し年を取りトラブルが起こります。人も同じです。老化は人を含む全ての動物で内臓やせぼねや関節に加齢的な変化をもたらします。この老化のメカニズムの1つに酸化があります。酸素は人が生きていく上で必要不可欠な物質です。ただ、酸素を体内に取り込むと一部は活性酸素という物質に変わります。これが、身体を酸化する原因となります。活性酸素が体内で大量に発生した状態を酸化ストレスと言います。他の老化の原因が糖化ストレスと言われるものです。食事の摂取によりとられた糖質は通常肝臓や筋肉に取り込まれてエネルギー源となります。一方、運動不足や過度な糖質摂取が継続すると糖質は体内のたんぱく質を結合してAGE(週末糖化産物)とよばれる老化促進物質になり、それが体内に蓄積していきます。

石井賢医師は抗酸化作用を持つ物質や加齢によって不足したNAD+を補足、あるいは長寿遺伝子であるサーチュインを活性化するための治療も行っており、運動器への老化予防の研究も遂行しています。運動器アンチエイジング・予防医療の方法は様々あり、サプリメント、注射剤、幹細胞(ステムセル)・幼若な細胞・患者様の自家細胞を培養した上清液、あるいはそれらの細胞自体を筋肉やせぼね、関節などの局所に投与したり、全身的に投与したりする方法があります。それに加えて、適切な運動療法の遂行がとても重要です。健康寿命を延ばすには、身体を動かすための基本となる骨や関節、筋肉や靭帯といった運動器の機能を保つことが大切です。最近では加齢に伴い筋肉量が減少して筋力や身体機能が低下するサルコペニアやフレイル、ロコモティブシンドロームなども注目されるようになりました。
心臓や内臓の健康が維持されて、がんのような病気が無くても、身体を動かす役割であるせぼねや関節、筋肉、骨、軟骨、靭帯などが老化すると寝たきりになってしまい、健康寿命を短命化してしまいます。今後、この運動器アンチエイジング・予防医療が学問としてさらに発展することで、 身体のトラブルや病気を予防し、メンテナンスをしながら、心身共に健康に老化していく事が達成できれば、人生100年時代もそう遠くはないと思います。自分の足で歩き、健康寿命を延ばして楽しく人生を過ごすためにも、早い段階からアンチエイジングと予防医療へ意識を向け、取り組んでいきましょう!

・ 運動器アンチエイジングに関する骨折治療
【今から始めよう!70代まで働く健康術】MISTや新たなリハビリで健康寿命を延ばそう 石井教授が伝授する骨の強化法とは(1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
・ 第12回運動器抗加齢医学研究会
https://ken-ishii.com/assets/img/activity/activity_08.pdf
プログラム | 第12回運動器抗加齢医学研究会






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