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疾患と治療

くびさがりしょうこうぐんのびょうたい・しんだん・ちりょう・りはびりてーしょん

首さがり症候群の病態・診断・治療・リハビリテーション (シェア プログラム)

1) はじめに


首下がり症候群は、首の病気の中では比較的新しい疾患です。70歳代以上の高齢・女性に多く、外観上は頭が前方に垂れ下がり、前方を見る事ができなくなります。適確な診断と適切な保存療法、特にシェアプログラムによるリハビリテーションが有効です。進行する前に是非、整形外科の受診をお勧め致します。

2) 首に関わる病気と症状


スマホやパソコンなどの長時間の作業、あるいは寝違えでは、首や背中に痛みが走ることがあります。多くの場合、数日以内で改善するので、単なる肩こり(首こり)や筋肉の炎症などとして扱われます。しかし、2022年8月、お笑いコンビの千鳥・ノブさんは、首の痛みをきっかけに「椎骨動脈解離」という病気が発覚しました。首の骨の中を通る椎骨動脈の内膜(血管の内側の膜)が裂け、ひどい場合はくも膜下出血や脳梗塞につながる怖い病気です。

首の病気はさまざまですが、その多くは加齢に伴う頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症です。他にも、遺伝性要因等による指定難病の頚椎後縦靭帯骨化症、化膿性脊椎炎、頚椎腫瘍など多くの病気があります。これらの病気では、首の骨・筋肉・神経などの異常に起因するため、一般的に首の痛みを伴います。更には、首を動かすなどの動作に伴い痛みが増強する、あるいは、腕や肩、脚にまで痛みやしびれなどの症状が広がることがあります。特に首の椎骨を通る脊髄が強く圧迫をされると、手足につながる神経が麻痺を起こし、筋力低下やバランス感覚減弱による歩行障害、進行すると膀胱や直腸につながる神経も麻痺し、排せつ障害が生じることがあります。

3) 首下がり症候群とは?


1887年に日本人が世界で初めて「Kubisagari」を報告しています。その後、100年以上経過した今から約30年前の1992年に重度の頚椎伸筋群(首を後ろへ反らす筋肉)の機能不全を呈す一連の症候群が首下がり症候群(dropped head syndrome)と命名されました。つまり、首下がり症候群は比較的新しい疾患概念となります。一般に70歳代以上のご高齢の女性に多いのが特徴で、外観上は首あるいは背中が前方に折れ曲がり、頭が前方に垂れ下がる姿勢を取り、前方を見る事ができない「前方注視障害」という症状を呈します

実際の臨床現場でも、2005年頃に石井賢医師が所属している慶應義塾大学病院で受診される首下がり症候群の患者さんは年間に数名でした。つい最近まで、患者さんの頻度も決して高くはありませんでしたが、超高齢社会を迎えた事と首下がり症候群という病気が医師にも周知されつつある今日では、潜在的にいた首下がり症候群の患者さんが病院を受診するようになりました。現在、石井賢医師の外来には毎回4-5名の首下がり症候群の患者さんが全国から紹介され、現在約450名の患者さんを治療しています。超高齢社会を迎えた事が患者さんの増えた原因と前述しましたが、石井賢医師による実はアジア諸国や欧米と比較して、日本の首下がり症候群の患者さんの数は圧倒的に多いという印象とのことです。

4) 原因と症状は?


首下がり症候群の原因はさまざまで、原因不明の特発性、外傷性、頚椎手術後、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症や脳梗塞などの脳神経内科疾患、甲状腺機能低下症、うつ病、関節リウマチなどの自己免疫疾患などがあります。石井賢医師臨床チームの経験からは特発性が約70%を占めます。特発性はなお原因不明ですが、加齢による姿勢の変化や首などの筋力低下に起因するものと推察されます。症状としては、前述の前方注視障害が主体ですが、終日首下がり(頭が前方に垂れ下がる姿勢)の状態であることはまれです。たとえば、朝方は全く問題なく、午後から夕方になると首下がりが生じたり、歩行する時のみ次第に首下がりになって、座って休むと頭が上がるようになる患者さんもおられます。他には、首こり(頚部痛)、肩こり、首下がりによる歩行障害、嚥下障害、開口障害(首下がりにより顎が胸部にくっつき、口を大きく開く事が出来ない状態で摂食障害を来たします)などがあります。時に首の中を走行する脊髄やその枝である神経根が圧迫されると、前述の神経麻痺症状が出現することがあります。

5) 診断は?


首下がり症候群の診断は比較的容易で、「座位、立位あるいは歩行時に首下がりによる前方注視障害を呈す疾患」といえます。ただし、その原因の特定には詳細な検査や豊富な治療経験を要しますので、確定診断が非常に難しくなります。一般的に、外傷による骨折や脊髄損傷、強直性脊椎炎、特発性びまん性骨増殖症、後縦靭帯骨化症、脊椎脊髄腫瘍、上位頚椎病変、先天性異常などの場合には除外されます。検査ではレントゲン撮影、CT撮影、MRI撮影、血液検査などが行われます。レントゲン撮影は立った状態で首下がりが生じているか、首から背中のどこで背骨が折れ曲がっているかなどを確認する事ができます。特に血液検査は重要で、4で述べた原因でパーキンソン病などの内科疾患による首下がり症候群と診断されるケースがあります。

6) 治療方針は?


首下がり症候群の治療は、その病因となる疾患の治療が優先されます。しかしながら、首下がりの発症時にその病因を同定する事は容易ではありません。まれに数日から数週間で自然に改善する事もありますが、多くの患者さんは数ヵ月から数年の間に状態に変化がなく、途中でクリニックや病院を受診しても加齢的な姿勢異常と診断され、鎮痛剤投与やリハビリテーションなどの対症療法が行われているのが現状です。したがって、首下がり症候群の適切な診断と治療は、疾患がまれであるために、今日でも全国的に治療経験の豊富な医師は限られると思われます。

一方、仮に首下がり症候群と診断された場合でも通常は装具療法、薬物療法、リハビリテーション等を主体とした保存療法主体の治療となります。一般に最低3ヵ月程度の保存療法を実施しますが、その期間で劇的に改善することはまれであると今日でもなお世界的な共通認識になっています。患者さんの中には、発症が急性で、進行性である事もあり、開口障害による摂食障害や嚥下障害を伴う事も少なくありません。特にご高齢の首下がり症候群では、栄養障害や寝たきりによる生命の危険もあることから、時にはご本人とご家族と相談して、外科的治療に踏み切る事もあります。

7) 保存療法の有効性は?


首下がり症候群では、神経麻痺がなく、生命予後の危険がない場合以外は、装具療法とリハビリテーションなどの保存療法を行います。装具療法では、首をまっすぐ前を向いた状態に保持する事が可能で、前方注視障害やADL(日常生活動作)障害を改善する効果があります。

リハビリテーションは、傍脊柱起立筋、特に頚椎伸筋群の強化により、首下がりの改善をもたらす可能性がありますが、その効果は非常に限定的で、あまり期待できないとされています。実際に過去の報告でも、全患者さんのうち約5-20%程度の患者さんのみに症状の改善の効果があると報告されています。しかも、その効果は一過性であり、リハビリテーションを休むと再度首下がりになってしまうと言われています。そこで石井賢医師臨床チームは受診された多くの患者さんにご協力を得て、様々な解析を行い、首下がり症候群に特異的に効果のあるリハビリテーション:short and intensive rehabilitation (SHAiR:シェア) プログラムを考案して、世界に先駆けて臨床現場に取り入れました。本プログラムは、頚部伸筋群を含む頚部・体幹筋群の筋力強化、胸腰椎の可動性(動き)獲得訓練、骨盤傾斜運動、歩行を含む運動からなり、約1-2週間実施します。これまで行われていたプログラムと比較しても、より高い有効性が示されています。全患者さんのうち、シェアプログラムに有効な患者さんは約90%程度と驚くべき治療成績です。ただし、リハビリテーションの継続が重要となりますので、患者さんはご自宅でのシェアプログラムの継続が必要になります。

8) 手術療法の実際は?


手術療法の適応は、その病因に関わらず、神経麻痺例や前方注視障害によるQOL(生活の質)の低下例や開口制限や嚥下障害などによる摂食障害例です。つまり、経過観察や保存療法を行ってもQOLの改善が見込めず、通常の生活に大きな支障を来たし、生命的に危険のある場合にその適応があります。具体的な手術は、一般的には首に後ろを切開して、首の椎骨にインプラントを設置して、良い形に矯正固定をします。骨の変形が強い場合には、時に喉の前を切開して首の椎骨を整える手術を追加します。石井賢医師のこれまでの50例以上の経験では、手術のリスクは通常の手術と同様に少なからずありますが、治療成績は概ね良好です。ただし、手術のリスクなどは術前に主治医にしっかりと確認する必要があります。

9) まとめ


背骨と首の構造、首に関する一般的な病気と症状、首下がり症候群の診断・治療の実際について石井賢医師研究チームの豊富な治療経験を含め、概説しました。首下がり症候群では、まずは適確な診断と適切な保存療法が重要と考えます。特に石井賢医師研究チームが世界に先駆けて開発したリハビリテーションであるシェアプログラムの治療効果は極めて高く、実施を強く推奨します。一方で、保存療法が効果なく、著しいADL障害、あるいは首下がりによる摂食障害などでは、手術療法も検討する必要があります。今後更に首下がり症候群の啓発と病気の解明や治療の最適化を目指していきたいと考えています。

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10) 石井賢医師臨床チームの学会発表と論文


1. Igawa T, Isogai N, Suzuki A, Kusano S, Sasao Y, Nishiyama M, Funao H, Ishii K. “Establishment of a novel rehabilitation program for patients with dropped head syndrome: Short and intensive rehabilitation (SHAiR) program.” J Clin Neurosci. S0967-5868(19)31914-9, 2020

(論文責任医師:石井賢)

日本語要約

タイトル:首下がり症候群(DHS)に対する新たなリハビリテーションの開発

首下がり症候群(DHS)に対する手術以外の治療は、これまで十分な効果が見込めないと考えられてきました。石井らの研究グループは、首下がり症候群に対する新たなリハビリテーションプログラム(SHAiRプログラム)を開発しました。このプログラムは、首まわりの筋力トレーニング、首と背中の柔軟性改善運動、骨盤傾斜運動、歩行練習などで構成されており、専門家による個別運動指導が行われます。SHAiRプログラムを実施したDHS患者さん(SHAiR群)と通常のリハビリテーションを実施したDHS患者さん(対照群)を比べ、治療効果を分析した結果、SHAiRプログラムは、普通のリハビリテーションプログラムよりも、首下がりと首の痛みの改善効果が非常に高いことが判明しました。この研究は世界で初めて、DHSの患者さんに対するリハビリテーションプログラムの有効性を科学的に証明しました。


2. Suzuki A, Ishii K, Igawa T, Isogai N, Ui H, Urata R, Ideura K, Sasao Y, Funao H. “Effect of the short and intensive rehabilitation (SHAiR) program on dynamic alignment in patients with dropped head syndrome during level walking” Journal of Clinical Neuroscience June 12,2021 doi:org/10.1016/j.jocn.2021.06.011

(論文責任医師:石井賢)

日本語要約

タイトル:首下がり症候群に対するリハビリテーション(SHAiRプログラム)が歩行姿勢に与える効果

首下がり症候群(DHS)の患者さんに行われるSHAiRプログラムは、立ち止まっているときの首下がりと首の痛みの軽減に有効であると証明されていますが、動いている(歩いている)ときの首下がりへの影響は明らかではありませんでした。われわれは3Dモーションキャプチャシステムという特殊な解析機器を使用して、DHS患者さんの歩行姿勢の変化を分析しました。その結果、専門家の指導のもとSHAiRプログラムを実施した患者さんは実施前よりも、歩いている最中の首下がりが正常に近づき、より大きな歩幅で歩けるようになっていました。SHAiRプログラムは、首下がりによって悪化した歩行姿勢に対しても効果的であることがわかりました。


3. Igawa T, Ishii K, Isogai N, Suzuki A, Ishizaka M, Funao H. “Prevalence of sarcopenia in idiopathic patients is similar to healthy volunteers.” Sci Rep 2021 Aug 10;11(1):16213. doi: 10.1038/s41598-021-95031-5.

(論文責任医師:石井賢)

日本語要約

タイトル:首下がり症候群におけるサルコペニアの有病率は健康な高齢者と同様である

私たちの体は骨格筋や脂肪、水分などで構成されており、そのうち骨格筋の量や筋力低下が著しい状態のことを、「サルコペニア」とよびます。これまでの研究では、首下がり症候群(DHS)の患者さんは同年齢の健康な人よりもサルコペニアと診断される割合が高く、DHSとサルコペニアは密接に関係すると考えられてきました。しかし、過去の研究では古いサルコペニアの診断基準が使用されていました。

この研究では、DHSの患者さんと健康な人ではサルコペニアと診断される割合に違いがないことを明らかとしました。さらに、DHS患者さんの多くは、腕や脚の骨格筋量は健康な人と同じくらい保たれていましたが、体幹の骨格筋量が少ないという特徴が分かりました。この研究ではサルコペニアに関する調査を通じて、DHSとサルコペニアにある誤解を解き、さらにDHS患者さんの新たな特徴を発見することに成功しました。


4. Igawa T, Ishii K, Suzuki A, Ui H, Urata R, Isogai N, Sasao Y, Nishiyama M, Funao H. “Dynamic alignment changes during level walking in patients with dropped head syndrome: analysis using a three-dimensional motion analysis system” Sci Rep 2021 Sep 14;11(1):18254. doi: 10.1038/s41598-021-97329-w.

(論文責任医師:石井賢)

タイトル:首下がり症候群の歩行姿勢の変化:3次元動作解析システムを使用した調査

多くの首下がり症候群(DHS)の患者さんは、立っているときは無理をすれば前を向けますが、歩き出すと前が向けず、電柱にぶつかりそうになったり、ふらふらしてしまったりと歩行中の姿勢に不安を抱えています。この研究では、3Dモーションキャプチャシステムを使用してDHS患者さんの歩行の特徴を分析しました。その結果、DHS患者さんは健康な人よりも、歩幅が小さく、体を後ろに傾けて歩いていることがわかりました。また、DHS患者さんは歩くときに前へ進むための地面を蹴り出す力が弱いことも明らかとなりました。DHS患者さんの歩行中の首下がりは、歩幅や体の傾き、足のけり出しに影響し、非効率的な歩行となっていることがわかりました。


5. Igawa T, Ishii K, Urata R, Suzuki A, Ui H, Ideura K, Isogai N, Sasao Y, Funao H. “Association between the Horizontal Gaze Ability and Physical Characteristics of Patients with Dropped Head Syndrome” Medicina (Kaunas) 2022 Mar 23;58(4):465. doi: 10.3390/medicina58040465.

(論文責任医師:石井賢)

タイトル:首下がり症候群患者の前方注視障害と身体的特徴との関連

首下がり症候群(DHS)患者さんの多くが経験する前方注視障害(前方を見る事ができない)は、加齢による姿勢の変化や首などの筋力低下に起因するものと考えられていますが、実際にどのような身体的特徴(筋力や柔軟性、歩行能力など)が要因なのかは詳しくわかっていません。この研究では100名前後のDHS患者さんのレントゲン画像や首の筋力、背筋力、脚力、歩行速度などの様々なデータをもとに、前方注視障害と関係する身体的特徴について分析しました。その結果、前方注視障害は、患者さんの歩行速度と首の曲がり方(背中が比較的まっすぐのまま、首だけ前方に曲がるタイプ)が密接に関わることが明らかとなりました。また、大変興味深いことに、今まで前方注視障害の原因と考えられていた首の筋力はあまり関係しないことも明らかになりました。


6. Funao H, Isogai N, Ishii K. “The potential efficacy of serotonin noradrenaline reuptake inhibitor duloxetine in dropped head syndrome: A case report and review of the literature.” Heliyon 2020 Aug 22;6(8):e04774. doi:10.1016/j.heliyon 2020.e04774.

(論文責任医師:石井賢)

タイトル:首下がり症候群に対するデュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の潜在的な有効性:症例報告と文献レビュー

首下がり症候群(DHS)の原因がパーキンソン病や筋委縮性側索硬化症などの脳神経内科疾患である場合は、薬物治療が優先されますが、原因が明らかでない場合は、現在のところ特効薬はありません。デュロキセチン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とは、一般的に骨格筋由来の慢性的疼痛や神経由来の疼痛、うつ病に対する治療に使用される薬です。われわれは首の痛みが強い70歳代の女性DHS患者さんに対して、デュロキセチンを処方した結果、首の痛みが軽減し、前方注視障害や歩行障害の症状は消失したことを経験しました。このDHS患者さんはデュロキセチンを服用したことで、(1)痛みが和らいで首を動かせるようになった、(2)デュロキセチンに含まれるセロトニンとノルアドレナリンの作用が、DHSの症状に効果的であった可能性が考えられました。デュロキセチンは、原因が明らかでないDHS患者さんの薬物治療として使用できる可能性がわかりました。


7. Urata R, Igawa T, Suzuki A, Sasao Y, Isogai N, Funao H, Ishii K. “The Short and Intensive Rehabilitation (SHAiR) Program Improves Dropped Head Syndrome Caused by Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Case Report” Medicina (Kaunas) 2022 Mar 21;58(3):452. doi: 10.3390/medicina58030452.

(論文責任医師:石井賢)

タイトル:短期かつ集中的リハビリテーション(SHAiR)プログラムは筋萎縮性側索硬化症による首下がり症候群(DHS)を改善する:症例報告

筋萎縮性側索硬化症(ALS)はDHSの原因の一つとして知られています。われわれはこれまで、原因が明らかでないDHSに対するSHAiRプログラムの効果を報告してきましたが、ALSに伴うDHSの治療効果は明らかではありませんでした。われわれは70歳代の男性ALS患者さんに対して、SHAiRプログラムによる治療を2週間おこなった結果、治療開始1週目から前方注視障害が次第に軽減し、2週間後にはほとんど消失したことを経験しました。また、患者さんが訴えていた強い首の痛みは2週間後に軽減し、QOL(生活の質)が著しく向上しました。これまで、ALSを原因としたDHSの治療は装具療法に限られていましたが、SHAiRプログラムは新たな治療法となる可能性が示されました。


8. Urata R, Igawa T, Ito S, Suzuki A, Isogai N, Sasao Y, Funao H, Ishii K.Association between the Phase Angle and the Severity of Horizontal Gaze Disorder in Patients with Idiopathic Dropped Head Syndrome: A Cross-Sectional Study.Medicina (Kaunas) (IF: 2.43; Q2). 2023 Mar 8;59(3):526. doi: 10.3390/medicina59030526.

(論文責任医師:石井賢)

タイトル:特発性首下がり症候群における位相角と前方注視障害の関連性:横断研究

位相角とは、細胞の活性度合いを表す指標として、医学の分野で最近注目されています。位相角は特に高齢者の身体機能(立ち上がり能力や足の筋力、歩行速度など)と深い関係があることがわかっており、DHSの前方注視障害とも関係する可能性が考えられています。この研究は、年齢と身長、徐脂肪量(体重から脂肪を除いた質量)を統一した首下がり症候群(DHS)患者さんと健康な人の位相角を比較しました。その結果、DHSの位相角は健康な人よりも低下していることがわかりました。さらに、位相角はDHS患者さんの前方注視障害とも関わっていることが明らかとなりました。この研究はDHSの症状と位相角の関係性について、世界で初めて実証しました。

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