疾患と治療
けいついこうじゅうじんたいこっかしょう
頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)
頚椎は7つの椎骨が重なっており、各々の椎骨は複数の靭帯で繋がっています。椎骨の椎体後方部分にある後縦靭帯は脊髄の通り道(脊柱管)に接して存在します。後縦靭帯が何かしらの原因で骨に変化(骨化)し、脊髄や神経根を圧迫し、様々な症状を出すのが、頚椎後縦靭帯骨化症です。
男性は女性の約2倍と多く、50歳以上のアジア人に多いのが特徴です。骨化の原因は不明ですが、これまでの研究で遺伝的要因、環境因子、ホルモン異常、カルシウム代謝異常、糖代謝異常などが関わっているとされています。典型的な症状は、手指のしびれ、巧緻運動障害(箸が持ちづらい、字が書きづらい、ボタンが上手くはめられない)、痙性歩行(ふらつき・つまずきやすい・歩行がぎこちない)、膀胱直腸障害(頻尿・失禁)などです。骨化により必ずしも症状が出現しませんが、ゆっくりと時間をかけて症状が悪化する場合があります。特に転倒や頭部打撲などの急激な外傷が加わると脊髄損傷が生じ、四肢麻痺が生じる事があります(中心性頚髄損傷)。治療は、症状が軽度な場合には慎重な経過観察を実施します。進行性の運動麻痺や排尿障害を伴う場合は手術の適応となります。特に重度の脊髄障害は、不可逆的になり回復が困難となることがあるため、早急な外科的治療を要することがあります。
・ 頚椎前方固定術
・ OPLLの新聞記事
https://ken-ishii.com/assets/PDF/koshi_opll_shinbun.pdf