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疾患と治療

せきついこっせつ

脊椎骨折

脊椎損傷とは、脊椎に強い外力が加わり、骨折や脱臼などの損傷を受ける疾患です。原因の多くは交通事故や転落、転倒、スポーツ外傷などですが、最近では骨粗鬆症などにより骨密度の低下した高齢者が、軽微な外力で損傷を受けることで発症することも増えています。頸部や背部に強い痛みが現れ、身体を動かすことができなくなるといった症状がみられます。脊髄に損傷を受けた場合は、重度のしびれや筋力の低下などの神経症状がみられることもあります。

脊椎損傷は、損傷部位によって頸椎損傷、胸椎損傷、腰椎損傷に分けられます。上位頸椎は環椎と軸椎から構成されていますが、環椎は上部に頭蓋骨があり、側方や後方は軟部組織などで保護されているため、外力が伝わりにくいという解剖学的特徴があります。上位頸椎部は、頭部側からの圧迫によって発生するジェファーソン骨折(環椎破裂骨折)、環椎骨折の中では頻度の高い後弓骨折、軸椎が骨折する歯突起骨折などがあります。中下位頸椎部で起こる骨折は、重症の頸髄損傷を合併する脱臼骨折のほか、楔状圧迫骨折や棘突起骨折などです。胸椎腰椎部で代表的な損傷は、椎体の前方部が骨折する圧迫骨折で、そのほかにも破裂骨折や脱臼骨折、シートベルト骨折やDISHなどでみられるチャンス骨折などが起こります。

腰椎損傷とは、脊椎がつぶれて変形を起こしてしまう骨折です。高齢者に多くみられる疾患で、転倒などにより外力が加わることで発症することが多いのですが、重いものを持ち上げたり、くしゃみをしたりといった軽微な外力によって起こることもあります。また、知らない間に骨折していることも少なくありません。

好発部位は、胸椎と腰椎の移行部(第11 胸椎〜第2腰椎)です。骨粗しょう症などを要因として発症することがほとんどですが、転移性の骨腫瘍などが原因で起こる病的骨折もあります。症状は腰や背中などの痛みで、寝起きや立ち上がったときに痛みが増強する体動時 腰痛がみられるのが特徴です。脊椎圧迫骨折と脊椎破裂骨折骨粗鬆症を要因として発症する脊椎骨折(骨粗鬆症性椎体圧潰)には、椎体前方のみがつぶれる圧迫骨折と、椎体の後壁もつぶれて骨片が脊柱管の方向へと突出して脊髄や馬尾神経を圧迫する破裂骨折があります。破裂骨折を起こすと、腰痛だけでなく下肢の麻痺といった神経症状が現れます。高齢者の脊椎圧迫骨折は、一度起こると繰り返し発症することが少なくないため、予防に努めることが大切です。定期的に骨量を確認し、骨量が低い場合には日ごろからカルシウムやビタミンD を多く含む食品を摂取したり適度な運動を行ったりすることが骨折予防につながります。


びまん性特発性骨増殖症、強直性脊椎炎に対するミスト手術
 MISt 最小侵襲脊椎安定術(Minimally Invasive spine Stabilization)


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