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疾患と治療

けいついついかんばんへるにあ

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎は7つの椎骨と、その間のクッション(椎間板)から構成されています。椎間板は中央部に髄核という水分に富む組織があり、周囲は線維輪という丈夫な組織に囲まれています。

加齢により髄核の水分量が減少し、線維輪に亀裂が入るなどして、椎間板は徐々に傷んでいきます。髄核の一部が線維輪の亀裂から突出して、後方の脊髄や神経根を圧迫してしまう病態を椎間板ヘルニアと言います。

図(左)正常、(右)ヘルニア

図 首を輪切りでみたイラスト

頚椎椎間板ヘルニアは、30~50代の男性に多く、症状は頚部痛、背部痛、片方の腕や手の痛み・しびれが見られます。重症例では脊髄の圧迫により、腕の筋力低下や筋委縮、指の動かしづらさ、ふらつきなどの歩行障害、頻尿などの排せつ障害を認めます。椎間板ヘルニアは異物と認識され、免疫系の細胞によって次第に縮小することがあるため、初めは手術以外の方法である保存療法(薬物療法、神経ブロック、物理療法、運動療法など)で経過観察します。しかし、保存療法で改善しない場合や進行する神経障害を伴う場合、または早期の社会復帰を望む方々には、手術治療が選択されます。手術は、頚部の前方あるいは後方から行われます。頚部前方に約3-4㎝の切開を加え、椎間板を前方から直接摘出して、人工骨やインプラントを移植する前方除圧固定術や、近年では2017年に本邦に導入された頚椎人工椎間板置換術(TDR)が実施されます。頚部後方では、後方から椎骨の一部を削った後に椎間板ヘルニアを切除し、脊髄や神経根の圧迫を解除する手法(内視鏡や顕微鏡下)が適応となります。時にインプラントで頚椎の制動による後方除圧固定術が必要となる場合もあります。患者様の病態により最適な術式を選択致します。頚椎椎間板ヘルニアの代表的手術として、頚椎前方固定術、頚椎人工椎間板置換術(TDR)、頚椎椎弓形成術、頚椎後方固定術 などがあります。


頚椎前方固定術

頚椎人工椎間板置換術(TDR)

頚椎椎弓形成術―片開き・両開き式椎弓形成術

頚椎後方固定術

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